2015年 奈良の冬④
近鉄電車で春日大社に向かう。
「ただいまこの列車は平城宮の中を通過しています。」と車掌さんがアナウンスした。
両側の窓を見ると、本当に広く広がる平坦な土地に、中国の使節を迎えたという巨大な建物(もちろん復元されたものだろうが‥)が見える。
最寄りの近鉄奈良駅からはバスで春日大社に向かった。
県庁を過ぎたあたりから、参道の賑わいが見えてきたので、ここはバスで通過するのももったいないと思い、降りて歩く事にした。
お土産物屋や骨董屋、こじゃれたcaféが並ぶ通りを歩いて春日大社に向かう。人通りは多く、鹿せんべいをねだる鹿もかなりいる。
角切りを済ませた雄鹿。
早速2つ買ったら、目ざとい鹿たちがわらわら寄ってきて、積極的なやつはバッグに頭を突っ込もうとしたり、またあるやつは後ろ回ってお尻の肉を噛んだりと、早速取り囲まれての追剝ぎ活動を開始されたので、先をいそぐことにする。
恐ろしく寒いこともあり、早く参拝しようと参道に入ってみると、そこはこんもり木が生い茂っていて薄暗い道で、両側にはおびただしい数の寄進された古い石灯籠がならんでいる。
石灯籠の間から恐る恐る顔をのぞかせる。
鹿せんべいの匂いがする‥
ここにもちらほら鹿がいるが、この辺りの鹿は、表通りでブイブイ言わせている奴らと比べるとかなりシャイで、「せんべいは欲しいけど人間怖いし‥」という感じに見えた。鹿せんべいを差し出しても、目をまん丸くしておよび腰で、首だけを伸ばして恐る恐るせんべいを食べる。
仲間と一緒に暮らせない鹿、怪我をしている鹿などが一緒に保護されている「鹿苑」。
ただ、この道沿いには鹿せんべい屋は無いようで、通りかかる人間は誰も鹿せんべいを持っていないようだったため、鹿せんべいをバックに入れている私は一人モテキ状態だった。
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