春日大社はどこもかしこも坂になっていた。
タモリさんが「ブラタモリ」で言っていたように、建物は山裾の地形を生かした上に建てられているので平らな部分は最小限にとどめられているようで、どこもかしこも傾斜している。
山が神様のいらっしゃる場所として大事にされているからなのか、土地を平らにならしてその上に建物を作るということになならなかったらしい。
奥に向かって下っている。
協調性ゼロの 営業ウーマンが、週末+αで日本とアジアのごくごく限られた場所をしつこく訪問。
ケチケチ旅行の極意を学び、なんでもない風景の中から「なんだコリャ!」とオドロくものを見つける小さな旅の連続を書き綴ってみました。
春日大社はどこもかしこも坂になっていた。
タモリさんが「ブラタモリ」で言っていたように、建物は山裾の地形を生かした上に建てられているので平らな部分は最小限にとどめられているようで、どこもかしこも傾斜している。
山が神様のいらっしゃる場所として大事にされているからなのか、土地を平らにならしてその上に建物を作るということになならなかったらしい。
奥に向かって下っている。
近鉄電車で春日大社に向かう。
「ただいまこの列車は平城宮の中を通過しています。」と車掌さんがアナウンスした。
両側の窓を見ると、本当に広く広がる平坦な土地に、中国の使節を迎えたという巨大な建物(もちろん復元されたものだろうが‥)が見える。
最寄りの近鉄奈良駅からはバスで春日大社に向かった。
県庁を過ぎたあたりから、参道の賑わいが見えてきたので、ここはバスで通過するのももったいないと思い、降りて歩く事にした。
お土産物屋や骨董屋、こじゃれたcaféが並ぶ通りを歩いて春日大社に向かう。人通りは多く、鹿せんべいをねだる鹿もかなりいる。
角切りを済ませた雄鹿。
早速2つ買ったら、目ざとい鹿たちがわらわら寄ってきて、積極的なやつはバッグに頭を突っ込もうとしたり、またあるやつは後ろ回ってお尻の肉を噛んだりと、早速取り囲まれての追剝ぎ活動を開始されたので、先をいそぐことにする。
恐ろしく寒いこともあり、早く参拝しようと参道に入ってみると、そこはこんもり木が生い茂っていて薄暗い道で、両側にはおびただしい数の寄進された古い石灯籠がならんでいる。
石灯籠の間から恐る恐る顔をのぞかせる。
鹿せんべいの匂いがする‥
ここにもちらほら鹿がいるが、この辺りの鹿は、表通りでブイブイ言わせている奴らと比べるとかなりシャイで、「せんべいは欲しいけど人間怖いし‥」という感じに見えた。鹿せんべいを差し出しても、目をまん丸くしておよび腰で、首だけを伸ばして恐る恐るせんべいを食べる。
仲間と一緒に暮らせない鹿、怪我をしている鹿などが一緒に保護されている「鹿苑」。
ただ、この道沿いには鹿せんべい屋は無いようで、通りかかる人間は誰も鹿せんべいを持っていないようだったため、鹿せんべいをバックに入れている私は一人モテキ状態だった。
奈良での2日目。
前日に今回の1番の目的である三輪山登拝と山辺の道歩きを終えていたので、その後の予定は全く考えておらず、前日に続き日航ホテルの朝食バイキングで奈良の朝ごはんを堪能した後、ぼんやり考えて、何となく奈良の隣の大和郡山に行ってみようと思い立った。
大和郡山は、国内有数の金魚の生産地であり、昔ながらの城下町とあったので、ぶらぶら歩くのにはよかろうと思った次第。
駅で降りて、散策マップにあるよさげなパン屋さん、お寺などを巡りながら歩いていると、いい感じのお豆屋さんに行きあたった。
上品にこなれた感じのおばちゃんが奥から出てきた。
いろいろ説明してくれようとしたのを、「とりあえず、いろいろ見せてください。」と、一旦お断りして、いろんな豆と豆製品をじっくり見る。明治25年創業の立派な老舗のようだが、全然格式ばったところはなく、はんなりフレンドリー。
お店の真ん中には石油ストーブがあり、ヤカンがかかってシュンシュン湯気が出ている。
豆を挽くための大きな古めかしい機械も置いてある。あとから入ってきた地元の常連らしきおばちゃんが、おせち用の黒豆を選びながら店のおばちゃんにどれがいいのか相談している。
お店の中の様子。
豆がいっぱい。
こっそり盗み聞きしていると、今年は天候不順で品薄らしく、いつもだと3Lサイズの豆が最高級のところ、今年は2Lサイズが1番上等らしい。いろいろ相談した結果、常連おばちゃんは2Lサイズの黒豆を購入、お店で挽いた黒豆きな粉をおまけにもらって帰って行った。やりとりを見ているうちに、自分も黒豆が欲しくなったので、買うことにした。丹波篠山産の立派な黒豆で、2Lサイズでも充分大きくて立派。お値段もそれなりによかったけれど、日本全国どこにいってもこの産地の豆はびっくりするくらい高いので、ほぼ産地で買うのならなおさらよかろうと購入。どこから来たのか聞かれたので、「福岡です。」と答えると、ちょっとびっくりされて、前のおばちゃんと同じく黒豆きな粉をおまけしてくれて、さらに、「これもおいしいから」と、飴をそっと私のバッグに滑り込ませてくれた。お店を出てからさらに歩きながら早速飴を食べてみて驚いた。ごくごく薄い表面の飴の中に、ふんわりしたきな粉がぎっしり入った、今まで食べたことがないくらい美味しい飴だった。
明治25年創業。
街歩きマップに、「公衆電話ボックスに金魚がいるところがある」と書いてあったので、きっと古い電話ボックスの中に金魚のモビールでも飾ってあるんだろうと期待も何にもしていなくて、たまたま前を通りかかったら、なんと本物の電話ボックスを水槽にしてあって、金魚がたくさん泳いでいるのに驚いた。
中にはレゴで作られた公衆電話も。
そこはうんと古い、街のガソリンスタンドの建物をそのまま使ったコーヒースタンドで、感じの良いお兄さんが次々に来るお客さんの注文を聞きながらコーヒー豆を挽き、ふんわりした感じで会話しながら一杯ずつ丁寧にコーヒーを淹れていた。
なんとなく吸い寄せられるように私も行ってみることにする。
ちょっと歩き疲れてもいたので、座ってコーヒーを飲もうと思うが、さすがに外のベンチでは寒いので中に入れてもらうことにする。
せ、狭い‥。でも、なんだか落ち着く。
温かいコーヒーを淹れてもらって飲みながら、お兄さんに電話ボックス金魚のことを根掘り葉掘り聞く。
電話ボックスを水槽にして金魚を泳がせているが、水槽の水重さは1トンにもなり、もともとのガラスでは水圧に耐えられないためアクリル板に替えてある。元は大和郡山で数年前に開かれた期間限定のイベント用のモニュメントだった。
金魚の世話はお兄さんがしている。
掃除をする際は、まず水槽の蓋になった電話ボックスの蓋を開け、まず上の方の金魚を網ですくって移しておく。水を抜きながら、下の方の金魚もすくう。
中の掃除は自分も入って行う
コーヒースタンドを始めたきっかけは、コーヒー豆を膨らませる楽しさに目覚めた事。
焙煎するとコーヒー豆からたくさん炭酸ガスが出る。
焙煎直後の豆ほど活発にガスを出す。
2〜3週間くらいで落ち着いてはくる。
焙煎したてはすっきりした味で、だんだんコクと深みが出てくるので、一概に焙煎したての新鮮なものが良いというわけでもないらしく、好みが分かれるところ。
コーヒー豆は農産物なので、同じ豆でも時期や天候、袋によっても質が異なる事がある。さらに焙煎時間や機械の加熱方法などによっても出来上がるコーヒーの品質は違ってくるそうだ。
コーヒーと言えば、毎朝スタバでテイクアウトするくらいしか知らなかったのに、一気にコーヒー耳年増になった。
ふわ〜っと膨らんだコーヒー豆のような優しい雰囲気の、コーヒースタンドのお兄さん。
街歩きマップに出ていた「猫窓」というスポットを探す。
民家の窓辺に座る猫が見えるらしい。運が良ければ最大5匹。
マップを何度も見てウロウロするが、それらしき窓は見つからない。
マップをぐるぐる回し、逆さまから見たりもするが、やっぱりない。
そうこうするうちに、マップを製作した「とほん」という名の本屋さんに着く。
古本フェアが開催されていたので何となく覗き、「人たらしのブラック謝罪術」というオソロシイ題名の本が目に止まり購入。100円。
併せて、「猫窓」についてご主人に聞いたところ、本屋さんと同じ通りの10軒先にあるとのことで、来た道をまた戻ってみる。
道を戻って見つけた猫窓は結構大きく、しかも目立つようにか窓枠を派手なマスキングテープで囲ってあった。絨毯敷きの出窓部分に猫はおらず、少し奥のソファーに大きな猫が3匹寝そべって眠そうにこっちをみている。窓辺の絨毯には猫のゲロがたくさん。猫たちが寝そべっているソファーは毛だらけ&肉球にめり込んだまま猫トイレから運ばれた思われる猫砂も散乱している。
ああ〜というくらいリアルな猫生活を垣間見てある意味ほっとする。
猫との暮らしってこんなだよね。だって生きてるからね。
下の方にソファーからこちらを見る猫が見える。
ガラスが反射して見えにくいが、手前の方の出窓そばに猫のゲロ。
大和郡山 柳町商店街。