遠慮もクソもなく鹿せんべいを奪いに来る奴ら。
かなり暴力ふるい放題の奴らとみた。
奈良の鹿は、鹿せんべい屋の前に集団でたむろしていて、観光客が鹿せんべいを買うのを待ち構えている。せんべい屋のおばちゃんからせんべいを渡されるや否や取り囲んで、鼻や角で体を押したり、洋服を乱暴に引っ張ったり、手提げ袋に頭を突っ込んで物色したり、多分わざとだろうが、時々洋服の下の肉に咬みついたりして半暴力的に鹿せんべいをむしり取る。
鹿を人間、鹿せんべいをお金と置き換えてみると、一般的にこういう行為を「カツアゲ」と言うんだと思う。
そして観光客はというと、人がカツアゲされている(せんべいを奪われている)のを見ていながら、どこかに通報するどころかカツアゲ集団をかき分けていって、わざわざATMでお金を下ろし(鹿せんべい屋のおばちゃんからせんべいを買い〕、進んでまた新たなカモになり、キャアキャアはしゃいでお互いに写真を撮りまくる。
人間が相手だったら考えられないことなんだろうけれど、鹿が可愛いから全て許されるんだろう。などなど思いつつ、結局鹿せんべいを4包も買ってしまった。
一方、公園の外周の林の中で静かに休んでいる鹿の群れも見た。
彼らも人間になれてはいるのだろうが、こちらが不用意に音を立てると、ビクッとして一斉に1メートルくらい飛びすさる。
毛並みは結構ボサボサ。
メインどころの参道沿いから離れた林の中にひっそり固まる一群。シャイで遠慮深い感じ。
そして、鹿せんべい屋付近にたむろしている一団は、ビックリするくらい毛並みツヤツヤでいい感じに太っている。
鹿の世界もいろいろあるんだろうな〜と思った。
怖い、怖い。
あ、それとブラタモリでタモリさんが「鹿は鹿せんべいを持った人のところには行くけれど、不思議なことに鹿せんべい屋にはいかないんだよな。」と言っていたのを思い出した。
確かに鹿せんべいは、鹿がちょっと鼻を伸ばしたら届く位置に山積みになっているので、鹿がその気になって集団で鹿せんべい屋を襲えば、相手はおばちゃんひとりなので簡単に大量の鹿せんべいが奪えると思うのだけど、敢えてそれをしないのはなぜ?と思って、アホみたいだけど鹿せんべい屋のおばちゃんに聞いてみた。
そしたらひとこと。
「怒るから。」
おばちゃん恐るべし。